歩いていて思いきり立ち止まった、あるお宅。道に面した外壁に、あひる(のおもちゃ)が4羽。たまらない! こんな「!」なシーンが街の中にあふれています。 大きく主張しないけど、必ず目に付く足元の小さな立て看板。 「これ道なのか! ここからしか行けないよね」の人の肩幅くらいの細道の先の家。 がんばれ! と思わず声をかけてしまった壁。 おうちの前の植木は、物干しだったんだあああ! 隣の建物が取り壊されたら、隠れていた素敵な壁が出てきたんですよおお。 電線とトランスこんなにか!? の空。 交番の標識まで??? 「久保交番」だよねええ?「久保交 番」この「アキ」気になる。 たくさんの不思議と魅力にあふれる素敵な街、尾道。 ソウルフード「手羽先」 子どもの頃に駄菓子屋で食べてた。骨まで食べてた。 とてもとてもうれしそうに語る尾道の方々…… ええええええ!? 子どもが駄菓子屋で手羽先? 衝撃の会話に思わず購入。 って、大衆酒処『米徳』さんで購入したんですけど^^; 大人の酒のつまみであります。しかも安! おもむろにパッケージを開けて食べると「おいしいいいい!」。酒のつまみであります^^ 子どもから大人までを魅了する、この手羽先って! この連載「その5」で予告したソウルフード「手羽先」(手羽先ですよ!)。 パッケージを裏返してみると、思いきり「ブロイラー」って書いてあって、これまた度肝を抜かれました。ほおおお。そして、この愛らしいひよちゃんキャラ。「これは尾道のソウルフード。子どもの頃のことも全部詰まってる」と、ビールとともに語る尾道人。奥深き尾道であります。 「手羽先もおいしいけど《手羽元》もあるんだよ。これがもっとおいしい!」 「え! なになにそれ!? どこに売ってるの?」 突如地元同士で、今も情報交換がなされます。なんか「とっておきの情報披露しちゃったぜ」モードの発言者です^^ここでは誰がとは言いませんが…… 手羽元、食べてみたい。 ちなみに《皮》もある。もっと食べてみたい! 当たり前のように山椒が醤油と並んで置いてあったのも衝撃だった^^; 天然温泉 尾道みなと館 今回の寺旅のベースは、古民家を再生して誕生した温泉(!)宿です。 大浴場心地いいです! 今回タイミングが良かったのか、独り占め! そして、各部屋は、みんな違う感じなのです。上層ベッドの下は、ソファのくつろぎスペースだったり……自転車を持ち込めるようにラックも用意されています。自転車乗りには愛車と一緒はうれしいですよねえええ。というより、必須ですかね^^わかってくれています。 シャンプーとコンディショナーが、すごい種類の中から選べたりする素敵なサービスもあってひとつひとつの心配りにキュンときます。 JR尾道駅 今年2019年3月10日にリニューアルオープンした「尾道駅」。なんと1891年開業(明治24年です!)、1928年(昭和3年)改築以来となる大改築ですなんですって。みなさんご存じのことかもしれなかったけど…… とても心地いい空間で、改札を抜けるとドーンと高い吹き抜け印象的です。 「来たよ! 来ましたよ! 尾道!」でした。 2階にはテラスがあるんです。前日は雨でこのテラスの写真を断念してたのですが、帰る日の夕刻に上がってみると高校生が語らっていました。とてもいいもの見た気がしました。 テラスを通った奥は、ホテルのフロント? らしいのですが……図書館のような……伺ってみると、本を自由に読めるブックラウンジなのです! すばらしい。そして、ここにある大きなテーブルは旧駅舎の梁で作られているそうです。 改札前からこの2階に続く「階段」が最後のご紹介です。 壁がぜーんぶ棚になっていて、尾道生まれの作品が並んでいます。階段を上がりながら、また下りながら、じっくり見られます。1階の階段口、この壁の続きに観光案内所の窓口もあります。目の錯覚か? なんて思ちゃうかもなので、探してみて^^ 台風発生から始まった濃密な尾道 寺旅も、夕陽に送られて終了です。 尾道駅からこのしあわせ色の黄色い電車に乗って帰途につきました。 長くお付き合いいただきありがとうございました。
『尾道 寺旅』今回の「その10」で最終回です。2ヵ月にわたってのんびり書いてきました。次にまた尾道でお会いしましょう^^ ふと見ると、井戸がいろんなところにあるのです。 尾道・久保地区を歩いていて、ずっと気になってました。 初めに気づいたのは、どこだったんだろう……路地をぐるぐるしているときに蓋をした大きな四角い井戸が、「敬神」「護国」と刻まれた門の中に大切にまつられ(?)ていて、由緒のある大切な井戸なのかな?と思ったのです。 後から知ったのですが、尾道は井戸の街だったのですねええ。 路地の内(奥?)に、数件の家が集まる真ん中に共同井戸(と思う……)があったりします。今も生きて使われているものもたくさんあり、2018年の豪雨災害で尾道全域が断水した際には、これらの井戸がみんなの生活をつないだそうです。 先に訪れた「浄泉寺」のご住職にも、境内の井戸を皆さんに開放されていたと伺っていたことを思い出しました。 このほそーい路地。ずんずんと進むと、ぽっかり開けた一角に出ます。 表通りからは想像もつかない広場なのです。 「水尾井」 水尾町の名前のもととなった井戸だと伺いました。 そして、写真の左、路地の突き当りは「熊野神社」です。 水尾通りを歩きながらずっと気になっていた「水祭り」の謎もここで解けることになります。 水祭り 気になっていたのです。「水祭り」の貼り紙。「水祭り」って何?! この熊野神社の氏子さんたちにより続けられた、江戸時代からの歴史を持った水芸・水細工のお祭、尾道の夏の風物詩だったのですねええ。 戦時中に途絶えていたものを、30年前に地元で復活させた素晴らしい歴史を持っています。 時事ネタやテーマに沿った場面を表現した人形の指先や口から噴水が出るなど、細工人形が並ぶお祭。毎年7月の第3土曜日に開かれます。 ↓下は、取材後改めて訪れた今年の「水祭り」の様子。 「延命井」 正念寺の境内にある「延命井」。地蔵堂に安置されている延命地蔵尊へのお供えの水としていることから、井戸にお名前が付いたのかなあ。尾道随一の名水と聞きます。 浄泉寺のご住職が、子どもの頃遊び場にしていたという境内に案内してくださいました。 で、案内していただいた「道」があまりにもマニアックで大興奮しました。 絶対に地元の人しか通らないよねええ、しかも子どもの頃使ってた道ですよねええ!? な細道なのです。こんなに細くて、曲がりくねった細道をぐんぐん進みます。 最下段右の写真……どこに人がいるかわかります? そこ、壁の隙間じゃないの? な道が続いています。探検隊みたいな道行でした。そして、盛大に蚊に刺されました。 かんざし燈籠 井戸の番外編^^ 寺旅6でご紹介した「キャッスルロック」「オルタナ」ふたつのお店のすぐそば、八坂神社の鳥居に並んで大きな「かんざし」形の燈籠があります。 さらに並んで大きな銀杏の木と井戸。この場所には悲しい物語がありました。 江戸時代、芝居小屋のお茶子に恋をした豪商の若旦那がいらしたそうです。娘を家族に紹介したものの、「『かんざし』ひとつ飾らぬ、みすぼらしい娘は嫁に迎えられない」と反対されてしまうのです。悲しんだ娘は大銀杏の下の井戸にが身を投げてしまい、以来「『かんざし』をください」と幽霊が出るようになったのだそうです。これを哀れに思った人たちが、お金を出し合って大銀杏の横に奉納した『かんざし』形の燈籠が、この燈籠の由来といいます。 昔から、人々の生活の中に息づいてきた尾道の井戸と水。
歩いていて、ふと惹かれてしまうのは命が吹き込まれ、存在感があるからなのかもしれないなと、振り返って思ったりしました。 偶然気になってシャッター切った風景は、並べて眺めると不思議に語り始めます。 どうしても「水」の回を作りたくなったのです。 さて、いよいよ次回その10で一旦この「尾道 寺旅」は最終回となります。 旅から2ヵ月^^; 長い旅になっちゃってます。 細い路地を曲がったら、こんな階段に出会う。 はて……ここ上がっていいのかな? こんな楽しみがたくさんちりばめられた尾道・久保地区「新開(しんがい)」地区。 洋酒喫茶 貝の店ロダン 「貝の店」ときいて、どんな風に想像しますか? 私は「貝を焼いて食べられる! お店」モードでした。 尾道に50年、尾道・久保地区「新開(しんがい)」で、このお店は外せないよと誰もが口をそろえる扉を開けたその先は、本当に思いもかけない空間でした。 美しい! 店内を埋め尽くす「貝・貝・貝!」のコレクション。まさしく「貝の店」です。 お店全体、ガラス張りのカウンターの中まで腕を置くのももったいなくなる貝貝貝! 世界中の美しい貝、その美しさに包まれるお店です。マスターの情熱であふれています。 数十年フィリピンの島に通い、その海で見つけた貝(ハボウキガイ)を手におぼれかけた(!)お話も伺いました。(カウンターに置かれた、本当に羽箒のようなその貝!大きい!)貝を握りしめた手を放せば助かるのに、どうしてもあきらめきれずなんとか浜へ泳ぎ着き、今ここにあるのですねえ。 チャーミングな奥さまとふたりカウンター内に立たれる姿は、「接客」とは全く違う何とも言えない心地よさなのです。「訪れた人その人の世界を大切にして、その場に置いてくれる」と言ったらいいのか…… ひとしきり店内を感嘆の声とともに回った私たちは、カウンターに落ち着いたとたんとても安らいだのでした。 さて、上記の写真でぜひご紹介したいのが「カイロウドウケツ」。--英名Venus Flower Basket(ビーナス フラワー バスケット)-- 上段真ん中の円筒状の海綿です。この中に小さなエビが雌雄一対で棲んでいる(!)のだそうです。エビは小さなときに入り込み、編み目より大きくなり、ずっとこの中で仲良く暮らす。夫婦ともに老い、死んでからも同じ墓に入るという意味の「偕老同穴」の名を持っています。 もうひとつ、「テンシノツバサ」本当に天使の翼! 下段右です。これ大きいのですよ!長さ15-6㎝あります。 こんなにたくさんの貝も、どこでどんな風に手に入れたかを穏やかに、でもぜーんぶ語るご夫婦に魅了される夜でした。 風月 営業時間は午後7時半~午前1時。 おうどん屋さんなのに、驚きの午後7時半から営業。飲んだ後の〆は「うどん」がこの地区のお決まりです。 提灯とのれんにひかれてガラガラと扉を開けると、うわーっとたくさんの人・人・人。 こんな遅い時間に! と、よそ者は驚きますよねえ。ビールもちらほらですが、みんなおいしそうにうどんをすすってます。 そ・し・て! 大きなおいなり。この魅力的なお店をおかあさま、ご子息ふたりで切り盛りされています。ひっきりなしに人が出入りし、お土産(?)の袋も手にして店の扉を出るのです。 「この辺で撮影したときのだよおお」という写真のパネル、なんとPerfume!じゃないですか! 何をいただいてもおいしく! 〆でなく、メインな感動でした。お出汁まで完食。 尾道デニムプロジェクト ガラガラガラ……かっこいい大きな重いガラス扉をあけると、店の奥までズドーンと長い台にデニムがずらり。Tha'ts All! 誰もいない……^^; もしやショールームだった? と、思いつつも勝手に「わあわあ」言いながら並べられたデニムを見ていると、そのタグにくぎ付け。「漁師」「保育士」「農夫」「フォーク乗り」。 世界有数のデニム産地、ここ備後地方。宿や空き家再生などの町おこしと同様、「繊維の経年変化を、町の方と一緒に」作り上げたい! という思いから、尾道で働くさまざまな職種の方たちに1年間はき続けてもらうことが「価値」のヴィンテージデニムを発表することを開始。1週間ごとに洗いに回収し、もう1本を渡して帰る。その繰り返しを1年間。 「デニム好きなら夢ですよね! 誰もやらなかっただけで」 と、さらっと言いのける女性店主がかっこいい! 「最初は、『何?それ?』『なんで新品より高くなるの?』な反応だったのですが、お願いして説明会開かせてもらって徐々に理解していってもらいました。」初年度になんと270名が参加。市役所の方々や市長さんも参加。(市長さんは「はく機会」が少なくて、あまりにきれいな状態だったらしい^^ 心動くエピソードです) 現在は100名くらいが安定して「価値」づくりに参加してくれているのだそう。 日常の仕事の中で、色落ちや傷・痛みなどその職業特有の味が生まれ、デニムに物語が紡がれていくとてもとても素敵な企画です。 あたりまえだけど、1年間はく「人」のサイズがあり、職業ごとの仕上がりの味の好みがあって、ぴったりの「私の1本」として購入するにはハードルが存在します。漁師さんは人気あるけど、サイズがとても大きいいい!とかね。出会いの1本なのですねえ。 はいた方と購入の場面で遭遇したり、途中で転勤するので別の方に引き継いだりのエピソードがあり、ずっとこのお店にいたいと思ってしまうほどでした。 紹介されるのはお断りしてるのよ。ごめんね
今回心ひかれまくったお店の中には、あたりまえだけどそうおっしゃられるところもありました。 地元尾道・久保地区の方に愛され、そのこと自体を大切にされたいという気持ちがまた、一番すてきだな!と思わせていただけます。 「『ふたりばあ』でやってるからね。たくさん来られても難しいけん」 ふたりのおばあさんって意味ですか? なんてかわいい。おしゃれな女性ふたりで長く愛されるカフェ。 「お父さん、がんこでね。全部お断りしてるんです」 お店のお昼休憩時間にもかかわらず、対応してくださった絶大人気のお寿司やさん。こちらこそ不躾に申し訳ありません。 なんだろう、この気持ち。尾道って本当にすてきだなああ。 さて、この看板のお店は写真のどこに? こんなシーンが、尾道には数多く登場します。細い道が入り組んでいるからですね。 昔の区画が大切にされている土地ならでは…… この看板も、大きな通りに面した駐車場に、何やら道がまだあるかも? と思わせる奥の正面にあるのです。もしやこの建物が? と思って駐車場に踏み入り(?)看板までたどり着いてふと右を見ると…… おお! きれいなのれんのお店が。 『水尾之路(みおのみち)』 のれんをくぐり、おうちの玄関をがらがらとあけて、お邪魔します^^ 上がっていいんですよね? 今のれんをくぐってきたけど、ちょっとためらったりして…… 木の廊下をするすると進むと、ぱあんと開けたお部屋に。 ここはどこですか? 本当にカフェなのかな? 築約80年(!)のおうちを再生して、東京から尾道へ移り住まれた店主ご夫妻が営むカフェです。あかり取りの中庭、座って何時間も眺めてしまえる縁側。カフェタイムに、ほんのつかの間この場所をお借りしているのかな? と思ってしまうくらい室礼すべてが、整っていて落ち着きます。 ランチの人気メニュー「カルボナーラパスタ レモン風味」をいただきました。 2階は、一日一組限定の宿にされています。この日は、ご予約の方がいらしたので階段は上がりませんでしたが、ここで一晩を過ごすのはどんなに素敵かと想像しました。 仲良くにこやかに並ぶ店主ご夫妻の、おもてなしと、尾道・この家をいつくしむ心が包み込む時間を楽しませていただきました。 『BISOU(ビズー)』 フランス語で子どもの軽いキス”チュッ!”を意味する「bisou」が店名。 前面は大きなガラスの引き戸。店内の壁が美しい薔薇色。外から見ても、入っても心奪われすぎて熱くなるお店です。ナチュラルワインと”自由な料理”の酒場。「アルコール飲まない方はお断り」という表明が、それ自体でうれしい。撮影を控えた店内右壁面いっぱいの大きな鏡に描かれたメニューが、素晴らしく全部食べてみたい!心に火をつけます。 福島から尾道に移り住まれた店主。一見こわもて(叱られるかなあ?)で、静かに真摯にお料理に向かわれている姿が印象的です。 【nuttsponchon(ナッツポンチョン)】 みんなから「まるちゃん」と親しまれる丸山氏の作品制作のアーティスト名が「nuttsponchon」。九州からこの尾道に移り住んだ日本人(^^)です。 そのアトリエ兼ギャラリーにお邪魔しました。 英語の先生をされている奥さまが、今日は家にいるのでと、わざわざギャラリーを開けてくださったのです。 ……のですが、作品に興奮しすぎて、そして、マイTシャツを選ぶのに熱中しすぎて(あーすみません・暴走しました)、撮影を忘れるという失態……唯一の1枚をご紹介…… 先の『BISOU』にお邪魔しているときに、な・ん・と! ギャラリーではお目にかかれなかったご本人が通りかかる! という夢の対面でありました。購入したTシャツを早速着ていたので、より興奮するおてらぶ部員であります^^ 尾道久保地区の魅力あふれるお店と人。
まだまだ、まだまだ続きます。 |
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