細い路地を曲がったら、こんな階段に出会う。 はて……ここ上がっていいのかな? こんな楽しみがたくさんちりばめられた尾道・久保地区「新開(しんがい)」地区。 洋酒喫茶 貝の店ロダン 「貝の店」ときいて、どんな風に想像しますか? 私は「貝を焼いて食べられる! お店」モードでした。 尾道に50年、尾道・久保地区「新開(しんがい)」で、このお店は外せないよと誰もが口をそろえる扉を開けたその先は、本当に思いもかけない空間でした。 美しい! 店内を埋め尽くす「貝・貝・貝!」のコレクション。まさしく「貝の店」です。 お店全体、ガラス張りのカウンターの中まで腕を置くのももったいなくなる貝貝貝! 世界中の美しい貝、その美しさに包まれるお店です。マスターの情熱であふれています。 数十年フィリピンの島に通い、その海で見つけた貝(ハボウキガイ)を手におぼれかけた(!)お話も伺いました。(カウンターに置かれた、本当に羽箒のようなその貝!大きい!)貝を握りしめた手を放せば助かるのに、どうしてもあきらめきれずなんとか浜へ泳ぎ着き、今ここにあるのですねえ。 チャーミングな奥さまとふたりカウンター内に立たれる姿は、「接客」とは全く違う何とも言えない心地よさなのです。「訪れた人その人の世界を大切にして、その場に置いてくれる」と言ったらいいのか…… ひとしきり店内を感嘆の声とともに回った私たちは、カウンターに落ち着いたとたんとても安らいだのでした。 さて、上記の写真でぜひご紹介したいのが「カイロウドウケツ」。--英名Venus Flower Basket(ビーナス フラワー バスケット)-- 上段真ん中の円筒状の海綿です。この中に小さなエビが雌雄一対で棲んでいる(!)のだそうです。エビは小さなときに入り込み、編み目より大きくなり、ずっとこの中で仲良く暮らす。夫婦ともに老い、死んでからも同じ墓に入るという意味の「偕老同穴」の名を持っています。 もうひとつ、「テンシノツバサ」本当に天使の翼! 下段右です。これ大きいのですよ!長さ15-6㎝あります。 こんなにたくさんの貝も、どこでどんな風に手に入れたかを穏やかに、でもぜーんぶ語るご夫婦に魅了される夜でした。 風月 営業時間は午後7時半~午前1時。 おうどん屋さんなのに、驚きの午後7時半から営業。飲んだ後の〆は「うどん」がこの地区のお決まりです。 提灯とのれんにひかれてガラガラと扉を開けると、うわーっとたくさんの人・人・人。 こんな遅い時間に! と、よそ者は驚きますよねえ。ビールもちらほらですが、みんなおいしそうにうどんをすすってます。 そ・し・て! 大きなおいなり。この魅力的なお店をおかあさま、ご子息ふたりで切り盛りされています。ひっきりなしに人が出入りし、お土産(?)の袋も手にして店の扉を出るのです。 「この辺で撮影したときのだよおお」という写真のパネル、なんとPerfume!じゃないですか! 何をいただいてもおいしく! 〆でなく、メインな感動でした。お出汁まで完食。 尾道デニムプロジェクト ガラガラガラ……かっこいい大きな重いガラス扉をあけると、店の奥までズドーンと長い台にデニムがずらり。Tha'ts All! 誰もいない……^^; もしやショールームだった? と、思いつつも勝手に「わあわあ」言いながら並べられたデニムを見ていると、そのタグにくぎ付け。「漁師」「保育士」「農夫」「フォーク乗り」。 世界有数のデニム産地、ここ備後地方。宿や空き家再生などの町おこしと同様、「繊維の経年変化を、町の方と一緒に」作り上げたい! という思いから、尾道で働くさまざまな職種の方たちに1年間はき続けてもらうことが「価値」のヴィンテージデニムを発表することを開始。1週間ごとに洗いに回収し、もう1本を渡して帰る。その繰り返しを1年間。 「デニム好きなら夢ですよね! 誰もやらなかっただけで」 と、さらっと言いのける女性店主がかっこいい! 「最初は、『何?それ?』『なんで新品より高くなるの?』な反応だったのですが、お願いして説明会開かせてもらって徐々に理解していってもらいました。」初年度になんと270名が参加。市役所の方々や市長さんも参加。(市長さんは「はく機会」が少なくて、あまりにきれいな状態だったらしい^^ 心動くエピソードです) 現在は100名くらいが安定して「価値」づくりに参加してくれているのだそう。 日常の仕事の中で、色落ちや傷・痛みなどその職業特有の味が生まれ、デニムに物語が紡がれていくとてもとても素敵な企画です。 あたりまえだけど、1年間はく「人」のサイズがあり、職業ごとの仕上がりの味の好みがあって、ぴったりの「私の1本」として購入するにはハードルが存在します。漁師さんは人気あるけど、サイズがとても大きいいい!とかね。出会いの1本なのですねえ。 はいた方と購入の場面で遭遇したり、途中で転勤するので別の方に引き継いだりのエピソードがあり、ずっとこのお店にいたいと思ってしまうほどでした。 紹介されるのはお断りしてるのよ。ごめんね
今回心ひかれまくったお店の中には、あたりまえだけどそうおっしゃられるところもありました。 地元尾道・久保地区の方に愛され、そのこと自体を大切にされたいという気持ちがまた、一番すてきだな!と思わせていただけます。 「『ふたりばあ』でやってるからね。たくさん来られても難しいけん」 ふたりのおばあさんって意味ですか? なんてかわいい。おしゃれな女性ふたりで長く愛されるカフェ。 「お父さん、がんこでね。全部お断りしてるんです」 お店のお昼休憩時間にもかかわらず、対応してくださった絶大人気のお寿司やさん。こちらこそ不躾に申し訳ありません。 なんだろう、この気持ち。尾道って本当にすてきだなああ。 |
過去の投稿
7月 2023
ブログテーマ
すべて
|