1ヵ月ほど前から、ツイッター上でずっと気になるキーワードを見かけていました......それは「ミッドナイト念仏」という言葉。念仏とミッドナイトというキーワードの組み合わせだけでも面白いのですが、つぶやいている人たちの反応がとても気になります。 「今年は会社終わりに参加します」「去年いけなかったので絶対に行く!」「今回は朝まで!」「あのラーメン屋でご飯だね」など......。どうやらイベントのようです。しかも、つぶやきの内容から察するにリピーターが多そうな印象。 知恩院で行なわれるお念仏イベントミッドナイト念仏は一夜を通してお念仏を唱えるという、お寺が企画運営しているイベントです。行なわれる場所は知恩院。京都・東山にあり八坂神社も近く、エリア一帯が観光の名所にもなっていますので、ご存知の方も多いと思います。しかし、知恩院といえば「南無阿弥陀仏」のお念仏で有名な浄土宗総本山。そのような場所で行なわれるイベントにしては、いささかカジュアルな印象を受けるタイトルだなと思いましたが、夜通しでただひたすら念仏を唱えるというイベント内容と、お念仏の大事さを説いている浄土宗の教えを考えますと、筋の通ったものなのかもしれません。 「うーん行ってみたい...」そう思い、知り合いの浄土宗のお坊さんに連絡を取ったところ、取材に入ることを許可いただいたので、カメラを持って京都へ向かいました。 到着するとすでに待つ人が……知恩院に到着すると、大きな看板が目に入りました。すでに並んでいる人たちもいます。輪袈裟をかけた信徒さんのような方だけでなく、若い学生さんや外国人観光客のような方も多いようです。なんだかすごいことになりそうです。その後、取材の手配をしていただいたお坊さんと合流し、ミッドナイト念仏についていろいろ教えていただきました。 御忌大会での行事ミッドナイト念仏は、浄土宗開祖である法然上人の遺徳を偲んで、4月18日から25日まで執り行われる御忌大会(ぎょきだいえ)内でのひとつの行事。もとはひっそりと夜通しの念仏法要として始めたそうですが、メディアを通じて一般の方にも知れ渡り、昨今のSNSブームからより広く拡散し、毎年参加者の増え続けている大きな催しになったのだそう。しかも今年でなんと21年目!(平成8年から開催)これはただの仏教イベントとはいえない何かがありそうです。 日も暮れ、すでに開始を待つ人たちは長蛇の列に。日本全国からお坊さんや檀信徒の方々が来られるそう。よく見ると外国人僧侶の団体さんもいらっしゃいました。 国宝に入ることができる!取材なので先に会場へ入らせていただけるということになり、向かったのは、なんと国宝でもある知恩院の三門!(知恩院では山門でなく三門とよびます)ふだんは決して入ることができない三門楼上内でミッドナイト念仏は行なわれるそうです。 三門楼上に続く階段はかなり急です。縄を頼りに足元を注意しながら、一歩一歩登ります。 上りきると、美しい東山の夜景を一望できます。(写真がぼけていてすみません!) ずっと見ていたい気持ちを抑えつつ、楼上のお堂内に。 荘厳な空間に感動!お堂中に入るとお堂の中央に釈迦如来坐像。その周りには十六羅漢像の姿が。わずかな明りの中で確認できるお姿に感動しました。天井には麒麟(きりん)や迦陵頻伽(かりょうびんが)の姿も描かれています。 参加される方々がお堂内に入ってこられます。しかし一度に入ることができるのは約150名。お堂内から出て行くのは自由で、席が空けば次の方を案内していただくシステムのようです。 念仏を通じた不思議な一体感。はじまりの法要も終わると、お念仏が始まりました。お坊さんにあわせ、私たちも「南無阿弥陀仏」を唱えます。その際、一人ひとつずつ小さな木魚を渡されますので、木魚を使いリズムをとっていきます。このリズムをあわせるという感覚と「南無阿弥陀仏」という比較的短いことばを繰り返すというのが一体感を感じさせます。そこに、参加する方々のいろいろな想いが合わさって不思議な空間に変わります。 最後に今回はオールナイト......まではいけませんでしたが、毎年朝までずっとお念仏を唱える方もいらっしゃるそうです。観光客やイベント好きの方も多く参加しているように感じましたが、ライト層に対して、仏教の教えに触れるきっかけを作ることができている。その流れを20年以上続けられているということは凄いことだと感じました。 次回は、仏友を誘って朝までがんばってみたいと思います。みなさんも来年、ご一緒いかがですか? 浄土宗総本山 知恩院 〒605-8686 京都市東山区林下町400 電話:075-531-2111 拝観時間 9:00〜16:30 |
過去の投稿
6月 2024
ブログテーマ
すべて
|